選挙特番中に台風21号被害

民主主義社会において、選挙報道を通じてさまざまな視点を提示することはとても重要だと思う。選挙当日にテレビ局各社が大量の人材とお金を投入して大展開する特番で、「万歳」「敗戦」の悲喜こもごものリアルな表情を見せ、それまで取材してきたことも織り交ぜながら飽きさせない編集で伝え、識者や政治家たちと議論を交わすことも、人々の政治への興味が高まっているときにやるという意味はあると思う。しかし、一晩たてば結果は明らかになる「ホースレース」と、今、まさに被害を出している災害と、どちらを視聴者は求めているだろうか。

昨日、轟音をたててマンションを揺らす暴風に怯えながら、これは尋常ではないと感じていた。案の定、神戸では、10月23日の午前0時半頃、瞬間風速45.9メートルを記録し、これは神戸においては、死者・行方不明者539人を出した「ジェーン台風」(1950年9月3日)に次ぐ歴代3位の記録だという(神戸新聞NEXT,(https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201710/0010668665.shtml)。
一夜明けて、今、私のソーシャルメディアの仲間たちからは、なぎ倒された木や、折れた街灯、崩壊した倉庫などの被害の写真が次々と回ってくる。大阪・奈良を流れる大和川も氾濫、岸和田では土砂崩れ、和歌山・貴志川周辺では大規模浸水・・。きらびやかなセットが組まれたスタジオから選挙特番が展開される裏側で、現在進行形で起こっていたことだ。

結果論だとは思わない。超大型で非常に強い台風21号が日本列島を直撃することはわかっていた。選挙特番がなければ、災害特番の編成を考慮する局もあったはずだ。放送法・108条(*)を持ち出すまでもないだろう。(*「基幹放送事業者は、国内基幹放送等を行うに当たり、暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならない。」)

最近まで、あちら側にいた人間として、一方的な批判をするつもりはない。現場の記者たちは不眠不休で両方の仕事にあたったはずだ。元同僚たちには労いの言葉しかない。選挙特番と災害特番、両方を行うマンパワーなどどの局も持ち合わせていないのだ。では、打開策はないのか。

しっかりと押さえておくべきことがある。
・選挙か災害か、二者択一ではない。
・地デジ導入でマルチ編成は可能である。
・地域にはケーブルテレビというチャンネルもある。
・インターネットは言わずもがなである。
・マンパワーが足りないのは「一つの局内で」という意味である。

阪神・淡路大震災のあとにまとめられた「情報の空白を埋める~災害時における情報通信のあり方報告書~」(1996年6月,

神戸新聞総合出版センター)には、「共同デスク」創設の提言がある。メディア間で取材情報や映像を共有し補完することが、決定的にリソースが不足する災害時においては有効ではないか、という提案である。あれから、20年以上が過ぎた。一歩でも先に進めるよう、私は私にできることをやろう。


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